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助産師 転職 東京比較の情報

人生の最後は、人生の総仕上げです。
にもかかわらず、そのいちばん大事な時期についての情報や議論が少なすぎるように思います。
その結果、みすみす人生の最後を不本意なかたちで終わっている(本人にとっても、家族にとっても)ケースが、非常に増えてきています。
老いの問題は誰もが考えたくない、しかし、避けられない問題です。老いの現実を紹介しながら、「どうすれば安心して老いられるか?」という問いについて読者の皆さんといっしょに考えようというのが本書の狙いです。
人生の最後を悔いなく、安らかに生きるためのヒントと希望を提供できれば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。
日本が経済的に豊かになり、世界一長寿の国になったことは、喜ぶべきことですが、同時に新たな問題も生まれました。
寝たきりや痴呆という状態で、人生の終末を長く生きる可能性が高くなったことです。
一九九一年には寝たきり老人は約七〇万人、痴呆性老人は約一〇〇万人と報告されています(厚生省)。
自分や家族が倒れる日は、誰にとっても等しく来る可能性があります。
国連の定義によると、高齢化率(人口にしめる六五歳以上の割合)が一四%を越えると、その社会は「高齢化社会」から「高齢社会」になります。
日本は一九九四年に高齢社会に突入し、二〇〇〇年の時点で高齢化率が一七%になり、スウェーデンを抜いて世界一の高齢国になると予想されています(厚生省)。
さらに、日本大学人口研究所の推計二九九三年)によれば、二〇二五年には日本の高齢化率は二七・五%になります。
本書の一つのキーワードは「家族」です。
万一のとき、家族の力でどこまで支えきれるのでしょうか。
介護に頑張っている、介護に苦しんでいる家族の姿をお伝えするのが本書の一つの目的です。
第二に、家族だけでは支えきれない場合(そういうケースが増えているのですが)、利用できる福祉サービスについてご紹介します。
適切な福祉サービスさえ利用していれば、もっといいお世話ができたのに、施設や病院に頂けなくてすんだのに、という後悔の声をよく聞くからです。
さらに、社会全体に日を転じて、家族だけで支えきれない場合、行政の福祉サービスや民間のシルバービジネス、ボランティアなどが、どのように協力なり役割分担できるのか、すべきなのか、についても考えてみたいと思います。
後半では、高齢者福祉の地方分権の流れを受けて、いかに安心して老いられる地域をつくるかについて、全国さまざまな地域、そして将来に向けての参考として、すでに高齢社会に突入しているスウェーデンやドイツの取り組みを紹介します。
地方分権が進むにつれ、福祉のレベルにも大きな地域格差が開きつつあります。
「いくら貯金を持っているか」以上に、1どの町に住んでいるか」によって、老後が大きく変わってくるとしたら、私たちも政治や行政に無関心でいることはできません。
老いに対して、家族や自助努力だけで対応するのには限界があります。
日本の政治も「国民福祉税」騒動に象徴されるように、ようやく関心だけは福祉や高齢化に向きだしたようです。
高齢社会の福祉ビジョンについても、活発な議論が始まろうとしています。
しかし、負担の議論が先行し、どんな老後が送れるかが、まだまだ見えてきません。
三世代同居を前提としたいわゆる「日本型福祉」は、現実に合わないものとなりつつあります。
前著『体験ルポ世界の高齢者福祉』では、「日本は、“軽老”の国である」と問題提起をしました。
本書では、「では、どうしたら安心して老いられるのか、安心して老いられる地域や社会がつくれるのか」について、より具体的に述べていきたいと思います。
この本は、高齢者福祉の入門書のつもりで、高校生からか年寄りまで、いままで福祉に無縁であった人にも読んでいただきたいという願いを込めて執筆しました。
この本が、読者の一人ひとりの老後の幸せに少しでも役立ち、軽老社会から敬老社会へと日本が転換する一助となることを祈って、はじめの言葉とさせていただきます。
家族介護の大変さは,経験した人にしかわからなり「アンタも福祉の勉強をする暇があったら、親の面倒をみなさい。
日本人がみんな親孝行になって親を大事にすれば、そもそも老人福祉なんかいらないんだから」と、ある人からいわれたことがある。
「福祉サービスは、親不孝者や家族愛のないものだけか利用するもの」。
これが福祉に無関心な人びとの理解なのかもしれない。
しかし、いまや福祉は一部の人だけの問題ではない。
老いを迎える人間すべてにとって、福祉はなくてはならないものとなりつつある。
I章では、親孝行や家族愛だけでなぜ老人介護が解決できないのか、を現実を見ながら考えてみたい。
なぜ、家族だけで看られないのか?子どもはアテにできるか?「近頃は子どもが減ってきたから、老後が不安だ」という声をよく耳にする。
しかし、子どもが多ければ安心なのだろうか。
妻の介護をして二一年になる辰吉さんのお宅を訪れた。
妻が脳梗塞で倒れて以来、リハビリの手伝い、病院への送迎、家事や排泄の世話など、いっさいを辰吉さんがやってきた。
辰吉さんには子どもが六人もいる。順に、男・女・男・女・男・女。
現在、長男は六一歳。上の子ども四人は東京近郊にいる。
「次男が働き始める昭和四〇年ごろまでは、九州には働く場所がなく、集団就職で東京に出ていかざるを得なかった。これはまずいと思って、五人めと六人めの子どもはここに残した」と辰吉さん。
しかし、頼みの三男の妻は子育てで手一杯で、介護まではできない。
病床の妻も気を使うからという理由で、息子夫婦との同居を嫌った。
辰吉さん自身も肝臓を悪くし、通院している。
いま、辰吉さんは、ホームヘルパーの派遣を希望している。
「週に一回でも来てもらって、掃除を手伝ってほしい」という。
年老いた親を田舎に残し都市部で働く人びとにとって、親の介護は切実な問題である。
後藤フメさん(七五歳)は九州郡部のある町に一人で住んでいる。
三年前に夫が亡くなった。
部屋に入ると「ポケないコツ六か条」というポスターか冷蔵庫の横にはってあった。
「一人暮らしは毎日さみしくて仕方かない」とフメさん。
「近所とつきあいはないのですか」と聞くと、「年寄りかヒマでうろうろしていると思われたくないので、出歩かんことにしています」とのこと。
周りは自然豊かな山村。
こんな田舎では人間関係か密に違いないと思ったが、そんな簡単な話ではないようだ。
楽しみは月一回の老人会の集まり。
「人と会うのがうれしいんです」。
昔は3夫と二人でミカンを作っていたが、夫が亡くなってからは畑にも出かけなくなった。
ここは教育熱心な町として有名だ。
しかし、フメさんは「教育熱心な町では子どもはみんな大学までいく。
そうすると都市に働きにいったまま、実家を離れてしまい過疎化するんですよ」という。
フメさんの一人息子も大学を卒業したのち、いま広島で働いている。
身体が不自由になってからでは遅いから今からいっしょに住もう、と息子がいってくれるという。
「でも私は引っ越す気はありません。
そんなところにいったら、それこそ一人ぼっちです。
一人として知り合いはいないんですから」最近、この町で一つの事件があった。
フメさんの友人が東京に引っ越した。
息子に引き取られたのだ。
ところが、「刑務所にいれられたようなもんだ。
知っている人は1人もいないし、道を歩けば迷ってしまう」と、嘆いて戻ってきて、再び一人暮らしをはじめたのだった。

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